新型コロナウィルスの症状のひとつに味覚障害がありますが、ストレスによっても味覚障害が起きることがあります。味というと口や舌といった機能が頭に浮かびますが、実は味覚の違いを感じ取るのは脳です。口の中の味細胞でキャッチされた味覚情報が、味覚神経の信号に変換されて脳に運ばれます。大脳皮質などでおいしさの判断が行われますが、ここにストレスの情報も入ってくるため、ストレスの程度や種類によって特定の味覚の感じ方が変化することがわかっています。普段は苦くて飲めないコーヒーがおいしいと感じたら要注意です。そのままにしておくとすべての味覚が感じにくくなってしまいます。

人が生活を送っていくうえで、ストレスそのものを完全に避けることは難しく、多くの制約がある今の状態ではさらに厳しいと思います。ストレスにうまく対処できずに心身に負担がかかってしまうと、味覚障害だけではなく心や身体に不調が出ることがあります。
実は私もストレス解消がうまいほうではありません。そんなときは娘が肩ほぐそうかと声をかけてくれます。大きな声では言えませんが、痛かったり、物足りなかったりするものです。それでも、身体の疲れや心の疲れを和らげてくれます。この正体が「幸せホルモン」です。
幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンは、哺乳類だけが分泌するホルモンです。ストレスホルモンを抑えて、安心感や親近感をもたらしてくれます。女性が出産や授乳をする際に分泌されるホルモンとしても有名です。近年では、男性女性にかかわらず人に触れてもらうことによって、このオキシトシンが分泌されることがわかっています。親しい人に触れてもらうとリラックスできたり心地よさを感じることができるのはこのためです。
ソーシャルディスタンスをとる必要がある今はなかなか難しいとは思いますが、家族間でのマッサージやタッチングでしたら衛生管理をしっかりすればストレス対策に効果的です。夜眠れないお子さまやリモートワークでお疲れのご家族に、ストレスから解放されるひと時を過ごしてほしいと思います。