免疫は、「疫を免れる」と書きます。
「疫」というのは疫病、とくに悪性の伝染病を意味します。
つまり、「免疫」とは「病気を免れるからだの仕組み」と捉えることができます。
侵入してくる微生物などの外敵(細菌、ウィルス、真菌、寄生虫)による傷害から身を守り、排除する生体防御機構と考えられてきました。
さらに、外敵だけでなく、自分と異なる異物も排除する働きがあるため、免疫とは、自己と非自己を識別して非自己を排除する仕組みと言われます。
例えば、ハシカに一度かかると一生ハシカにはかからないと言われますが、病原微生物を弱毒化して注射することで伝染病を予防する方法が開発され、これがワクチンとして確立。
一度ハシカに罹かったり、ワクチンを接種することで「抗体」という「疫を免れる」物質が体内にできるのです。
臓器や皮膚を移植すると、拒絶反応を起こして排除するのも免疫の働きです。
排除の反応を起こすかどうかは、それが有害な微生物であるかどうかではなく、それが自分のものであるかないかという判断に基づいています。
また、体の中では癌細胞が常に発生しているといわれますが、これを「異物」と認識して免疫機能が働いていることで、通常は癌を発症しないということになります。
私たちは、免疫のバランスを崩す様々な要因に囲まれて暮らしています。
ストレス、加齢、環境ホルモン、食生活、生活習慣、などなど。
疲れた時に風邪をひきやすいというのも、免疫機能が低下していることのあらわれです。
加齢によっても免疫の活性は落ちてきます。
胸腺が免疫システムの中で重要な役割を果たしていますが、この胸腺という臓器は成長をするにつれ、だんだん小さくなり老化するとほとんどなくなってしまいます。
本来の役割を果たす器官がなくなるわけですから、当然免疫の働き方に影響してきます。
老化に伴って免疫機能がバラバラに低下するため、バランスの取れていた免疫システムのバランスが崩れ、矛盾した免疫反応が起こったりもします。
このため、免疫のバランスをできるだけ保つよう、日常生活の中で免疫バランスを整えるようなライフスタイルを心がけることが重要です。
喫煙や飲酒を控えること、バランスのよい食事や質のよい睡眠をとること、適度な運動を心がけること。
運動習慣がある人は免疫細胞であるNK細胞が活発に働くと言われています。
反対に免疫を低下させるストレスをできるだけ避け、笑うことも大切です。
笑いによる脳への刺激がホルモンの分泌を促し、これがNK細胞を活性化させます。
また、笑うことは自律神経に変化をもたらし、体中の様々な器官に良い刺激をもたらしてくれます。
体温を上げておくことも有効です。
体温が1℃上がると5~6倍免疫力が上がると言われます。
ライフスタイルを整えることで、まずは私たちのからだの基盤となる免疫バランスを整えましょう。